Category: 日記 (page 1 of 4)

「ひかり」と「かげ」

 

もうすぐ日が暮れるという頃、富士山にかかる雲が、太陽に照らされて山を縁取っていました。

 

この景色を見て、宮沢賢治の詩の一節を思い出しました。

 

「そらの散乱反射のなかに
古ぼけて黒くえぐるもの」
(宮沢賢治『春と修羅』「岩手山」より)

 

自然界には「光」と「陰」が、対照的でありながら必ず同時に存在し、どちらを欠くこともできない存在であることが、この詩には表現されているように思えます。

 

そしてもしかすると、それは人の心の中についても言えるのかもしれません。

 

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ぎらぎらとした8月の太陽の光が、空や雲や木々をいっそう色濃く映し出しながら、私たちに有り余るほどのエネルギーを注いでいます。

 

そうしたエネルギーを五感で受け止めながら、ふと宮沢賢治の童話集『注文の多い料理店』の序文を思い出しました。

 

「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。」

 

「人間も自然界の一部であり、自然の中に生かされている存在である」と、もし肌で感じることができるなら、身に訪れる好ましくない変化に対しても、少しだけ寛容になれるのかもしれません。

 

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コロナ禍の鍼灸(師)

遠く丹沢の山並みに紅葉が広がり、富士山の頂から裾にかけて降りたての薄い雪が光っています。その手前には一本のイチョウの木が朝の日光を浴びて黄金色に輝き、透きとおった冷たい風は一面の青空に雲を白く薄くたなびかせ、竹林の明るい緑の葉を細かく揺すっています。

 

あるがごとくにある12月の自然の風景の下で、私たち人間の世界はまだまだコロナウィルスに苦しんでいます。

 

一年近く続いている、安心安全が脅かされ先が見通せない日常、感染してもさせてもいけないという緊張、気分転換もなかなかできずに溜まっていくストレス、これらが自覚的にも無自覚的にも、ボディブローのようにじわじわとダメージを蓄積させてきています。

 

このような困難な状況の中で、それでも頑張っている人たちに対して、私ができることは一体何だろう?と考えます。

 

鍼灸と免疫の関係についてお話ししますと、鍼や灸の刺激は自律神経系を介して免疫系にも作用し、リンパ球であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)T細胞の数を増加させるという研究報告があります。「鍼灸は免疫力を高める」と言われる科学的なゆえんです。

 

しかし、だからといって鍼灸を受ければ感染しないとか、感染しても重症化を防げるとか、そういうことではなく、個人レベルの感染症対策としてはこれまでも、そしてこれからも、「手洗い、消毒、マスク、換気、3密を避ける」が何よりも大事であることは言うまでもありません。

 

鍼灸は、外敵を攻撃するものではなく、身体に備わっている機能をより発揮できるよう内的環境を整えることに優れた療法ですので、コロナに対しては、「規則正しい生活、睡眠、栄養」と同じ枠組みで、養生の一つとして受けていただくのが良いと思います。

 

私自身は、「心身の安全基地」としての役割を大事にしたいと思っています。

 

それは、私の治療室が感染症対策をしているとか、3密ではないとか、そういった意味での安全だけではありません。(もちろんこれも大事なことではあります)

 

人はみな自分の内面に、他の誰にも、何にも邪魔されない「自分だけの静寂の時間、静寂の場所」を持っています。それは冒頭で見た自然の風景と同じように、あるがごとくにある、「存在」という名の静寂です。

 

荒波(コロナ禍)にもまれていると、その渦中の世界がすべてだと思ってしまいがちです。

しかし、そんな状況においても心の奥底に静寂は必ずあって、いつでもそこに立ち戻ることができます。そのことに気づきさえすればよいのです。そこにはいつも穏やかさと安らぎがあります。

 

この苦しい時期に、鍼灸を通して、張り詰めて緊張した心と身体を緩めながら、ほんのひととき静寂の世界を感じ取っていただけるような、そんな安心感に包まれた空間を作りたいと思っています。

 

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危機(クライシス)とは 〜開業11周年を迎えて〜

 

3月25日、湘南さがみはりきゅうマッサージは開業11周年を迎えました。

忙しい日常に追われて、すっかり忘れていました。

 

さて、いま新型コロナウイルスの感染拡大で、日本だけでなく世界が危機に直面していますが、

そもそも「危機」とは何でしょう?

辞書を引くと

「大変なことになるかもしれないあやうい時」とあります。

しかし英語の「クライシス(crisis)」を辞書で調べてみると、上記の意味の他に

「(運命の)分かれ目」「(病の)

の意味があり、さらに語源をたどると

決定」「転機

という意味だったことがわかります。

つまり、「危機(クライシス)」とは元来は決してネガティブな意味だけではなく、

「危険な時ではあるが、対処次第で良い方向にも転がり得る大事な分かれ目であり、転機でもある」

という、ポジティブな可能性を含んだ言葉であると言えるでしょう。

 

分かれ目を前にした時に、どういう判断をして、どういう対処をするのか、どの道を選ぶのか、そういったことを試されているように思います。

 

 

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「何もしない」ことのススメ

湘南さがみはりきゅうマッサージは、治療を受けに来られる方に、

「頑張らなくていい」「何もしなくていい」「ただここにいるだけでいい」

時間を提供できるように心がけています。

 

私たちは小さい頃から、勉強でも習い事でも、目標に向かって頑張って何かをするための方法をいろいろと教えられてきました。

もちろんそれはそれで大事なことですし必要なことです。

 

しかしその一方で、何もせずただリラックスすることの重要性、またそのための方法というのは、教わった記憶がありません。

本当に、週にひとコマでも学校の授業でやればいいのにと思うほどです。

 

こうして休み方を知らないままに頑張りを強いられれば、当然心身は緊張し、疲弊してくるでしょう。

それを発散できているうちはまだいいですが、それ以上に蓄積が上回り、抑えきれなくなったとき、自律神経系やホルモン系などを介して様々な症状として姿を現わすのです。

 

それは、例えば

肩こり、腰痛 などの筋肉系かもしれないし、

便秘、胃もたれ、月経前症候群(PMS)といった内臓系かもしれないし、

あるいは不眠やうつ、不安障害、パニック障害、摂食障害などといったメンタル系かもしれません。

 

頑張りすぎた結果としてこれらの症状が現れたのなら、それを治めるためには「頑張らなくてもいい」「何もしなくていい」というメッセージを心身の奥底まで送り込む必要があります。

 

それはけっしてダラけることではなく、また表面的な気休めの言葉がけなどでもなく、本当の意味でのリラックス法を身につけるということです。

 

これは一朝一夕にできるものではありませんが、「まずはとにかくやってみよう」という気持ちがあれば大丈夫です。

一歩を踏み出したときから、すでに変化は始まっています。

鍼やお灸の感覚に包まれながら、「何もしない」世界を少しずつ体感していきましょう。

 

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2019年を振り返って

2019年、私にとって4周目の亥年が間もなく終わろうとしています。

 

今年はまず、治療室の移転という大きな出来事から始まりました。

 

1年前の12月に、

「ああそうだ、引っ越そう!今しかない‼︎」

と、突如物件を探して即決断、年末年始休みにバタバタと慌ただしく引越しをして年明け、軽いギックリ腰になりながらスタートしたのでした。

 

完全予約制の隠れ家的?治療室というコンセプトがゆえ、初めての方は不安もあるかと思いますが、室内はアットホームでプライベート感があり、落ち着いて治療を受けたいという方には最適ですので、お困りのことをどうぞ気兼ねなくご相談ください。

 

 

3月には開業10周年を迎えました。

といっても、これは通過点の一つに過ぎませんね。

これからも、お一人お一人に丁寧に向き合っていくことを積み重ねたいと思います。

 

さて来年の抱負はというと、鍼灸の技術向上は言わずもがな、

「観る」「診る」「見立てる」

ということに、もっともっと磨きをかけていこうと思っています。

例えて言うなら、

「薄暗がりの中、あなたの目の前に苦痛を抱えた人がいます。でも、あなたはいま鍼ともぐさを持ち合わせていません。さてどうしますか?」

といったところでしょうか。あれ、よけいに分かりにくい?例えになっていない?

 

マインドフルネス瞑想も継続して行い、今年もとても大きな気づきがありました。

心と身体へのアプローチとして、またセルフケアの一つとして、治療の大きな柱になると実感していますが、メニューに組み込むには自分自身もう少し鍛錬が必要です。来年の今頃には、もっと具体化させておきたいですね。

 

今年も一年、たいへんお疲れさまでした。

2020年が、皆さまにとって良い年となりますよう、お祈り申し上げます。

 

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体は正直

11月11日付のスポーツ記事によると、さきのラグビーワールドカップで大活躍した日本代表の中村亮土選手は、大会を振り返って「楽しかった。緊張せずにやれた」と語る一方、大会期間中に円形脱毛症になり、またなかなか寝付かれず睡眠導入剤を服用していたそうで、「どこかで自分に制限をかけていた。体は正直なんだと思った」ともコメントしています。

 

「体は正直」というのは、一流のアスリートに限らず、普通の日常生活を送る私たちにも当てはまります。

 

例えば、仕事や家事、育児、人間関係など、日々の生活の中で受けるストレスが、意識的にせよ無意識的にせよ抑圧され続けた場合、その抑圧されていたストレスが、「体の症状」として姿を現すということは、臨床の場ではとてもよくみられることです。

 

体は言葉を発することができないので、「症状」を出すことでしか訴えることができません。言ってみれば、「症状」というのは体からの悲痛な叫びです。

 

ところが、理性のレベルでは「症状」は厄介なものでしかないですから、その本来の意味など考えずに一刻も早く除去しようと考えます。(程度の問題もありますから、応急的に和らげた方が良い場合ももちろんあります。)

 

しかし本能のレベルからすればこれは「訴え棄却」のようなもので、「違うんだ!もっとよく聞いて!わかってほしいんだ!」と、棄却されまいと粘るか、棄却されても繰り返し言葉にならない叫びを訴えてくるかもしれません。

 

このようなとき、中村選手のように「体は正直」と考えることができれば、体からの声に耳を傾け、症状の持つ意味を理解しようとすることで、理性のレベルよりもっと深いレベルにある「本当の気持ち」に近づくことができるでしょう。

 

そこにたどりついたとき、「症状」は、頑張って除去しようとしなくても、体の方からその訴えを取り下げてくれるかもしれません。

 

 

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ウェブ・エリスカップ

 

ラグビーワールドカップの優勝国に与えられるトロフィー。

 

ウェブ・エリスとは、19世紀、イングランドの名門ラグビー校でフットボールの競技中、当時禁じられていた「ボールを持って走る」という反則行為を行ったとされる、伝説の少年の名前。

 

この少年の常識破りの行動がきっかけとなって、のちにラグビーが生まれたと言い伝えられています。

ボールを持ったエリス少年はどんな思いで走り出しちゃったんでしょうね。

 

今日でワールドカップ日本大会も終幕。

 

ウェブ・エリスカップを手に掲げるのは、

エリス伝説が生まれたラグビー発祥の国イングランドか。

白人社会の象徴だったラグビーを通して人種差別を乗り越えようとしてきた南アフリカか。

 

それぞれの歴史も背負って闘う両国の対戦が楽しみです。

RUGBY WORLD CUP 2019

9月20日(金)、ラグビーワールドカップの日本大会がいよいよ開幕しました。

 

私が高校に入ってラグビーを始めた1987年、第1回ラグビーワールドカップが開催されたのです。

 

それから32年の時を経て、こんな日がやって来るとは。

 

開催は以前から決定していましたから、もちろんずっと楽しみにはしていました。

 

しかし、いざ始まって開会式を観ていると、「本当にこの日が来たんだろうか」と、不思議な感覚になりました。「夢のよう」とはこのような感覚を言うのでしょうか。

 

ニュージーランド対南アフリカ、アイルランド対スコットランドといった、日本以外の国同士の試合での、あの満員のスタジアム、そしてスタジアムにこだまするあの歓声。

「ここは本当に日本なんだよね?」と、やはり不思議な感覚がして、その後、もう何とも言えない幸せな気持ちになりました。

 

あと一ヶ月と少し、この「一生に一度」の感覚をじゅうぶんに味わいたいと思います。

公認心理師

 

臨床心理士として働いている妻が、公認心理師の試験に合格しました。

 

公認心理師は、日本では初めての心理職の国家資格です。

 

優秀な妻のことですから受かるだろうとは思っていましたが、無事に合格して良かったです。

 

仕事、家事、子育てをこなしながら、明け方に勉強していましたから、その努力には頭が下がります。

 

私も負けずに頑張らないと。

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