日頃、認知症の方への訪問マッサージ施術もさせていただいています。

 

目的はあくまでも筋力低下や関節拘縮を防ぐといった身体機能の改善ですが、マッサージの効果はそれだけにとどまりません。

 

認知症の症状は主に「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つに大きく分けられます。

 

記憶障害や見当識障害など、脳の器質的な変化によって直接引き起こされる中核症状については、マッサージで改善されることは、私の経験上ありません。

 

しかし、本人の性格や周囲の環境、対人関係などを背景として現れる諸症状、BPSDについては、マッサージを行うことにより、特に精神的な落ち着き、不安や抑うつの低下といった改善が見込まれるケースもあると、経験上感じています。

 

マッサージによる「触れる」という行為は、認知レベルよりももっと根源的な、生物学的レベルへのアプローチなのです。